マンションのエントランスは、住まう人にとっても、訪れる人にとっても、最初に目に入る場所です。建物の印象は、この限られた数メートルの空間でほとんど決まってしまうといっても過言ではありません。だからこそ、「古びて見える」「なんとなく暗い」「デザインが統一されていない」といった違和感があれば、それは無意識のうちに物件全体へのイメージを下げる要因になります。
さらに最近では、資産価値や入居率の観点から、共用部のデザイン性を見直す管理組合やオーナーも増えてきました。建物自体はまだ使えるけれど、内装が時代遅れに見える──そんな声がきっかけとなり、部分的なリニューアルに踏み出す事例も少なくありません。
とはいえ、大規模な改修となれば予算も期間もかかるもの。そこで注目されているのが、見た目の印象を大きく変えながらも、工期や費用を抑えやすい素材の活用です。その一つが“ダイノックシート”。このあと、その有効性と採用の考え方について、順を追ってご紹介していきます。
おしゃれに見えるエントランスデザインの要素とは?
「おしゃれなエントランス」と聞いて、人それぞれに思い描くイメージは違っていても、共通して求められる要素はいくつかあります。たとえば、全体の色の統一感、照明の配置、素材の質感、導線のわかりやすさ。そして、それらを調和させる設計の意図です。見た目だけを整えても、実際に人が行き交う空間として機能しなければ“デザイン”としては不十分。逆に、シンプルであっても目的や役割に即していれば、洗練された印象を生むことができます。
色彩の使い方も、印象に大きな影響を与えます。ベージュやグレーなどの落ち着いた色は高級感を演出し、木目調や石目調の素材はあたたかみや自然さを感じさせます。逆に、濃い色や派手な模様は、適度な範囲で使うことでアクセントになり、メリハリのある空間に仕上がります。もちろん、ただ色や柄を加えれば良いというものではありません。建物の構造や周囲とのバランスを考えながら、調和を重視した設計が求められます。
また、照明の配置や明るさも見落とせません。暗すぎれば安全性に不安が残り、明るすぎれば落ち着きを欠くことになります。間接照明やダウンライトなど、光の当て方を工夫することで、素材の質感をより引き立て、空間全体を立体的に見せることができます。
こうした要素を適切に組み合わせることで、「整っている」「センスがいい」と感じられる空間が生まれます。
ただの見た目だけじゃない!素材選びの盲点と失敗例
エントランスをおしゃれに整えようとするとき、多くの人がまず注目するのが「見た目に映える素材」です。たとえば天然石の壁材や無垢材のパネル、艶のある塗装仕上げなど、写真映えする素材は数多く存在します。しかし、それらを実際に導入しようとした際に直面するのが、費用や施工条件、そして維持管理の問題です。
たとえば天然石は確かに高級感がありますが、重量があるため既存の壁にそのまま貼ることが難しいケースもあります。下地の補強が必要になれば、工期や費用が大きく膨らむリスクがあります。また、経年劣化によって変色や表面の剥離が起きることもあり、定期的なメンテナンスが必要です。塗装も同様で、一見シンプルで使いやすく見えても、経年による色あせやひび割れのリスクが伴い、見栄えの低下を防ぐには再塗装の手間がかかります。
さらに見落とされがちなのが、共用部ならではの“使われ方”です。エントランスは多くの人が日々通る場所。ぶつかりやすい角、荷物が当たる壁面、汚れやすい手すりまわりなど、実際の使い方に応じた耐久性や清掃性が求められます。「おしゃれ」に仕上げたはずが、数年後には傷だらけでみすぼらしくなっていた――そんな事態は避けたいところです。
つまり、素材を選ぶときには「見た目」と「維持のしやすさ」のバランスを冷静に見極める必要があります。
意匠性×メンテナンス性──リニューアルに求められる新条件
エントランスの改修を検討する際、ただ「おしゃれにしたい」だけでは判断がつきません。建物の用途や管理体制、入居者層、予算規模など、現実的な制約の中で、いかに「見た目」と「使いやすさ」の両立を図るかが重要になります。そこで改めて見直したいのが、“意匠性”と“メンテナンス性”のバランスです。
意匠性とは、空間に個性や質感を与え、来訪者や住民に好印象を与える要素です。一方、メンテナンス性とは、時間が経っても劣化しにくく、清掃や補修がしやすい状態を保つ力を指します。この2つは、どちらか一方だけを重視すればいいという話ではありません。むしろ、多くのマンションで課題となっているのが「初期はきれいだったのに、数年でくたびれてしまった」というケース。特に共用部は、誰が汚したかが明確になりにくく、管理の手間も増えやすい場所です。
たとえば光沢のある塗装や鏡面仕上げの素材は、確かに印象的ですが、指紋や傷が目立ちやすく、清掃頻度も高くなります。また、部分的に傷んだ場合に「同じ仕上げで補修できない」という問題が発生することもあります。こうした事態を避けるためには、初期コストだけでなく、中長期的な維持管理のしやすさも含めて素材を選定する必要があります。
さらに、施工のしやすさや工期も見逃せません。住民の生活に配慮するなら、長期間の養生や騒音を伴う施工は避けたいもの。だからこそ、貼るだけで印象を変えられ、短期間で工事が完了するような素材は、今後ますます注目されていくでしょう。
なぜダイノックシートがマンションエントランスに向いているのか?
ダイノックシートとは、塩化ビニル系の化粧フィルムの一種で、既存の壁や扉、柱などに直接貼ることで、見た目を一新できる建材です。その最大の特長は、“貼るだけ”で空間の印象を大きく変えられること。高級感のある木目や石目、金属調など数百種類以上の柄があり、素材ごとの質感も非常にリアルに再現されています。
エントランスのように多くの人が行き来し、日常的に接触が多い空間では、素材の耐久性も重要です。ダイノックシートは表面が丈夫に加工されており、汚れや傷にも強く、清掃もしやすいため、見た目を保ちながら長く使用できます。さらに部分的に剥がれた場合でも、同じ柄で再施工が可能なため、補修対応も柔軟です。
工期が短い点も大きなメリットです。既存の壁材を剥がす必要がないため、音やほこりを最小限に抑えた施工が可能で、住民の生活や他の工事との干渉も少なく済みます。費用面でも、天然素材を使った改修や全面張り替えと比べて抑えやすく、「コストは限られているが印象を変えたい」という管理組合やオーナーのニーズに合致します。
また、素材自体が軽量で柔軟性があるため、曲面や角の多い箇所にも対応しやすいのも特長のひとつ。大規模な意匠変更から、小規模なアクセント付けまで、幅広い用途に対応できる汎用性があります。
今後のエントランス改修を考えるうえで、ダイノックシートは「見た目」「耐久性」「施工性」「コスト」すべてのバランスが取れた現実的な選択肢といえるでしょう。
→ より詳しい情報や施工事例はこちら:
https://www.exceed-earth.com/dinocsheet
部分施工から始める、“おしゃれな共用部”づくり
マンションのエントランスは、住まい全体の印象を左右するだけでなく、入居者や来訪者にとっての「安心感」や「信頼感」にもつながる場所です。だからこそ、どんなに小さな改修でも、空間の雰囲気や質を高める意味は十分にあります。
すべてを一度に改修する必要はありません。まずは、目に入りやすい壁面やエレベーターまわり、掲示板の枠など、限られた範囲から手を入れてみる。すると空間全体の印象が変わり、その変化が住民の反応や管理方針にも良い影響を与えることがあります。
“貼るだけ”という手軽さのあるダイノックシートなら、こうした部分的な施工も無理なく進められます。理想の空間づくりは、一歩ずつ始めることで現実になります。
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